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健康生成論(理不尽を乗り越える方法)

[2022.05.30]

一般的に医学は、疾病生成論で成り立っています。病気の原因を探して、それを取り除けば治療できるという考え方です。

この逆の考え方が、健康生成論です。アーロン・アントノフスキーというイスラエルの学者が、ナチスの強制収容所を生き残った人たちの共通点を探すという研究をして見つけた、過酷な環境を生き残る人たちの共通点です。

アーロンアントノフスキーは、この共通点は「首尾一貫感覚(sense of coherence, SOC)」だと言いました。ある事象により、その人が傷つけられるかどうかは、その事象が当人の感覚に逆らうもであるかどうかによるというのです。

つまり、その人の感覚に逆らわないためには、その事象が、①予測可能であり、説明可能であること、②それを克服するためのリソースが利用できること、③これに関わることが、成長するためにふさわしい課題である、と感じられること、の3つが必要だといいます。

そして、この首尾一貫感覚は、3つの要素からできていると言いました。

把握可能感(Comprehensibility):物事は秩序ある予測可能な方法で起こるものであり、あなたは人生の出来事を理解可能であり、将来起こることを合理的に予測できるという考え。

処理可能感(Manageability):あなたはスキル、能力、サポート、ヘルプ、または物事の世話に必要なリソースを持っており、そして物事は管理可能であって、あなたのコントロール内にあるという信念。

有意味感(Meaningfulness):人生とは、面白くて満足感の源であり、本当に価値があって、これから何が起こるかを気にする良い理由や目的があるという信念。

アントノフスキーは、3番目の有意味感覚が最も重要だと言います。

自分に起きたことが、どんな風に起きてきたのか想像し、自分の能力やリソースがが試されていて、これを乗り越えることが面白くて、満足感がり、価値あることなのであると、信じていることが、過酷な状況を乗り切るために、必要だというのです。

アントノフスキーは、健康生成論は宗教ではない、と言いますが、私は、あらゆる宗教は、この要素を含んでいるのではないかと思います。信仰を通じて、この首尾一貫感覚を養うことができるのかもしれません。

参考:健康生成論 - Wikipedia

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