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大量生産・大量消費

[2020.11.29]

今朝のNEWSでは、SDGsが語られていました。資本主義により貧富の差が拡大し、無限の経済成長を求めるために、地球環境が破壊されてしまうから何とかしなければならないと言っていました。

コメンテーターは、理念と行動を結びつける施策が必要だと訴えていましたが、具体的な提案がありませんでした。

私は、喫煙対策に長年取り組んできた経験から、一つの提案があります。それは、「大量生産・大量消費」の見直しです。

2012年にリオで開催された国連持続可能な開発会議で当時のホセ・ムヒカ ウルグアイ大統領が演説していました。
ホセ・ムヒカ 世界一貧しい大統領 国連演説 - Bing video

 

タバコは資本主義の優等生と言われました。ニコチンの依存性に基づいて、多くの人々の行動をコントロールして、大量生産・大量消費を実現し、巨大な利益を上げた工業製品だからです。

しかし、喫煙の死亡リスクは1/2でした。タバコに含まれる有害物質は、肺などから吸収されて、全身の臓器に運ばれ、ありとあらゆる疾患リスクを上昇させます。そして、喫煙者の二人に一人は、喫煙が原因で死亡するということが分かりました。

日本では、喫煙により毎年10万人、受動喫煙により1万人以上が死んでいるのに、止めることができません。本当は、今、世間を騒がせているコロナ以上の問題です。

また、タバコは、発展途上国で生産した原材料をアメリカ、ドイツ、日本などの工業国が加工して輸出する、三角貿易のような南北問題でもあります。さらに、タバコの栽培から製造、消費までの過程で温室効果ガスを排出し、砂漠化を招き、マイクロプラスチックを排出する環境問題であることもわかっています。

そのような問題が分かっていても、なかなか止めることはできていません。巨万の富を築いたタバコ産業は、潤沢な資金を活かして、研究者を飼いならし、政治活動をし、さらにマスコミ・メディアをコントロールして自分たちの利益を守る活動を続けています。だから、わが国にはいまだにタバコという商品に対する公的な安全規制が一切ありません。

タバコにはありとあらゆる資本主義社会の問題が凝集されています。

そして、今、IT業界は、スマホ依存、ゲーム依存をつくりだして、多くの人の行動をコントロールして、莫大な利益をあげています。多くの子どもたちが、スマホやゲームをするために生まれてきたはずはないのに、毎日何時間もスマホやゲームに費やしてしまいます。

ムヒカ大統領が言った通り、大量生産・大量消費の社会に流されることで、一人一人が生きている意味を見失います。スマホやゲームにも依存症を防止するための安全規制が必要です。これには多分、多くの親が賛成するはずです。

例えば、農家は自分で消費する作物は、売るための作物と分けて生産していると聞きます。自分で消費するための農産物には農薬などをなるべく使わないというのです。

「Amazon.co.jp: 100億人―私達は何を食べるのか?を観る | Prime Video」こんな映画がありました。大量生産・大量消費のための工業化された農業が環境を破壊する。結局、小規模農業が推奨されるらしいです。

「Amazon.co.jp: ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~(字幕版)を観る | Prime Video」ファストファッションの南北問題、環境破壊の問題を指摘する映画もありました。

もし、自分が作った作物を、顔を知っている近所の人たちが消費するのだと思ったら、自分たちで消費する分と同じくらい農薬を減らそうとするのではないでしょうか。地産地消はそのためにも優れた取り組みだと思います。

昔、日本には農林水産物の仲卸業者がたくさんいて、それぞれが品を見極めて、顔見知りの店に卸していました。今でも個人経営の飲食店では、原材料にこだわって、安全なおいしいものを食べさせてくれるお店があります。

流通の合理化という金科玉条のためにそうした中間業者が排除されました。そして、今、どの街に行っても同じようなチェーン店が並ぶ画一化した街並みができあがってしまいました。

自動車など大きな工業製品は、大規模な企業でなければできないこともあるのかも知れませんが、食品・生活用品などに対する大量生産・大量消費のシステムを見直し、零細事業者を復活して顔の見える関係での取引を推奨することで、無限の環境破壊を止めることができないものでしょうか。

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