メニュー

理不尽

[2022.05.17]

小学生の頃、妹とのチャンネル争いは年中行事でした。なだめたり、すかしたり、喧嘩したりして、やっとチャンネル権を獲得したのに、父が帰ってくると、問答無用でニュース番組に変えられてしまいました。

そういう理不尽は、日常茶飯事でした。

中学生の頃、好きな女の子ができて、その子の家に電話するのは大変でした。お父さんが出たらどうしようと思うと、不安で、緊張して、それに耐えて、勇気を振り絞って電話をしたものです。

理不尽に耐え、不安や恐怖の感情をコントロールして、創意工夫をするのが、脳の前頭前野の働きです。不自由な時代に、そうやって、脳の前頭前野は鍛えられていました。

コンピュータやスマートホンが発達したおかげで、チャンネル争いはなくなりました。電話も個人に直通で、快適です。でも、その快適さのおかげで、脳の前頭前野の機能が低下してしまっていないでしょうか。

理不尽なことは、ない方がよいでしょう。そのために、人間は、さまざまなルールや技術を開発してきたと言えるかも知れません。しかし、災害などを例にあげるまでもなく、世の中に、理不尽なことは必ず起こります。大きな不安や恐怖に襲われることが必ず起こるのです。

そして、苦しみ、しかし、何とかそれを乗り越える、それこそが、その人の成長するチャンスなのかも知れません。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME