発する言葉
[2022.11.22]
誰かが発する言葉は、その人のものです。自分の脳ですることだから、自分の範囲をなかなか超えることはできません。説教染みて人に話すことは、自分に言い聞かせていることです。
だから、他人を叱責するときには、よほど注意深くしないと、浅はかな自分の本性を見抜かれてしまいます。
ソクラテスは「対話」を重要視したそうです。
「対話」は、相手の状況を思いやりながら、行うものです。
相手のことを思いやりながら、自分の置かれた状況を客観的に考えることは、人間に与えられた高度な脳(前頭前野)の機能の一つです。想像力を働かせて、一生懸命、相手の立場や自分の置かれた状況を把握して適切な言葉を発しようとするのです。
私は、患者さんの話しをなるべく注意深く聞いているつもりです。そして、その患者さんの言葉から想像できる私の感情を、患者さんにお伝えします。もし、私の発言が違っていれば、患者さんが訂正してくれます。そして、私は自分の気づかなかった心の在り様に気づくことができることもあります。患者さんも何かに気づいてくれていることがあるかも知れません。
注意深く対話していれば、多くのことに気づけます。
ということを、私はいつも自分に言い聞かせているのだと思います。