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大切なこと

[2019.12.22]

ずいぶん前に流行った、「7つの習慣」のスティーブン・コビー博士の言葉に、

「最も大切なことは、最も大切なことを、最も大切にすること」

というのがあります。

皆さんは、自分にとって、最も大切なことが何なのか、気づいておられるでしょうか。また、その大切なことを大切にできているでしょうか。

自分にとって、大切なことを大切にできていれば、きっと良い人生になるはずです。

依存症という病気は、この大切なことを大切にできなくなってしまう脳の病気です。脳内報酬系の神経回路が誤作動を起こすことによって、依存対象の物の重要性が高まってしまうために、本当に大切なことを大切にできなくなってしまいます。

私はアルコール依存症病棟で治療を担当していたことがあります。
患者さんたちは、朝から酒を飲んでしまいます。だから、仕事ができなくなって、クビになってしまいまます。
仕事と酒は、どちらが大切でしょう。
そして、仕事を辞めて家で飲み続けて、あきれた家族に注意されると暴力をふるってしまいます。だから、家族が出て行ってしまいます。
家族と酒はどちらが大事でしょう。
さらに、飲み続けて体もボロボロになって、病院に運ばれてきます。放置すれば死んでしまいます。自分で自分の行動をコントロールできないのだから、病棟から出られない、閉鎖病棟での治療がはじまります。
大切なことを大切にできないと、人生が台無しになってしまう実例です。

正常な報酬系の神経回路は、うれしい、楽しいという感情を通じて、自分にとって大切なことを教えてくれます。うれしいと思うこと、楽しいことに一生懸命取り組むことが、大切なことを大切にする良い人生につながります。

しかし、麻薬、覚せい剤、アルコール、タバコなどの依存物質は、報酬系の神経回路の誤作動を利用して、その人にとって大切なことをないがしろにさせて、人生を台無しにさせてしまいます。
この社会には、人々の脳内報酬系神経回路誤の作動を利用して商売している人たちがたくさんいますので、騙されないように気を付けてください。
その時は楽しくても、終わった時にむなしい気持ちになるようなものは、報酬系の誤作動です。心当たりはありませんか。買い物、ゲーム、酒、・・・・枚挙にいとまがありません。この社会では、普通に生活していると、脳内報酬系が誤作動を起こして、本当は必要ないものに時間やお金を奪われて、人生が台無しになるように仕組まれているようです。

怒りや悲しみも重要です。その人にとって大切なことをないがしろにされたり、踏みにじられたりしたときに、怒りや悲しみを感じます。怒りや悲しみを言葉にして伝えて、誰かに共有してもらうことが、大切なことを大切にすることにつながります。
怒りのために暴力をふるうことは逆効果です。どんなに正しい怒りだったとしても、暴力をふるったとたんにその人は犯罪者になってしまいます。怒ってもいいし、泣いてもいいけど言葉で伝えなければいけません。

喜怒哀楽の感情が、大切なことを教えてくれます。自分の感情を大切にすることが、大切なことを大切にすることにつながります。感情を隠さず、無理に我慢しないで、もっと楽しんで生活してください。

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