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魔法②(こびとの靴屋)

[2022.04.29]

グリム童話に、「こびとの靴屋」という寓話があります。

コツコツ働くまじめな靴屋が困窮し、とうとう靴一足分の革しかなくなってしまいます。しかし、翌朝目覚めると、その残された革で上等な靴ができ上っていました。このことが毎晩続くうちに、靴屋は「人並みの」生活ができるようになります。
ある日、裸のこびとが靴をつくってくれていると気づいて、靴屋はこびとに洋服を作ってお礼をします。すると、その翌日からこびとは現れなくなってしまいます。しかし、靴屋は、こびとに負けないくらいの靴をつくってその生活を続けることができました。
というお話しです。

多分、こびとというのは、誰の無意識の中にも潜んでいるパワーや、若いころの無尽蔵な体力のことだと思います。無意識的なパワーは魔法のように、生きてゆく力をもたらし、若い体力が糧を与えてくれて、人並みの生活ができるようになります。そして、そのことに気づき、無意識的なパワーに感謝し(自分自身を受け入れることができて)、上品な意識の洋服を着るようになるころには、体力も失うけれど、意識的に、効率的に行動できるようになるので、人並みに、平穏に生きていける、というお話しではないでしょうか。

中高年になって知恵がつき、自分自身の本性を受け入れて意識的に行動できるようになるころには、魔法のような無意識的なパワーや体力を失うかもしれないけれど、だからこそ賢く生きていけるというお話しだと思います。

魔法のようなパワーや体力を失う、私くらいの年代にとっては、年を取るのも悪くないと、勇気づけられるお話しです。

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