ケンタウロス
椎名雄一氏の研修会で聞いたアイデンティティーに関する心理学の寓話です。
ケンタウロスは、ギリシャ神話に出てくる英雄で、写真のように上半身が人間で、下半身がウマの姿をしていました。走るのも早く、弓の名手でもあり百戦錬磨のたくましい戦士でした。
しかし、そのケンタウロスには悩みがあったのだそうです。
自分が人間なのか、馬なのかがわからないという悩みです。
食事をするときに、人間の食事をしたらいいのか、馬のエサを食べたらよいのかが分かりませんでした。それだけではなく、休む時にも、人間の家で休んだらいいのか、馬小屋で休むのがいいのかも分からなくなってしまいました。自分がどうふるまえばいいのか、全く分からなくなってしまったのです。
そして、栄養も摂れず、休むこともできずに、悩みながら、とうとう衰弱して死んでしまったのだそうです。
そうしたら、村人たちも、悩んでしまいました。ケンタウロスを人間として葬るべきなのか、馬として葬るべきなのかが分からなかったのです。
そういうお話しです。
ケンタウロスはどうしたら良かったのでしょうか?
自分で決めたらよかったのです。他人から見たらどう見えるかなんて、関係ありません。自分が人間だと思ったら、人間の食事をして、ベッドで休んだらよかったのです。そうしたら、死んだ時にも村人たちは、人間として葬ってくれたはずです。
途中で変えても良かったのです。人間が煩わしくなったなら、気ままに馬としてふるまえばよかったのです。そうしたら、村人たちはケンタウロスを馬として扱い、煩わしい人間関係はなくなり、死んだときには馬として葬ってくれたはずです。
自分が何者なのかは、自分で決めることです。そして、自分で決めたとおりにふるまっていれば、周りの人があなたをそのように扱ってくれるはずです。
だから、楽に生きていけるようになります。