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重要な他者

[2022.04.03]

 対人関係療法という治療法があります。
 「重要な他者」とのコミュニケーションを改善することによって、うつ病、摂食障害などあらゆる精神疾患が軽快するというのです。対人関係療法で定義する対人関係は3層となっています。

 自分を取り巻く第1層の人々を「重要な他者」と言います。これは、毎日、一生、一緒にいる人たちのことです。例えば、子どもにとっては「親」、大人では「配偶者」である場合が多いでしょう。この人たちとのコミュニケーションを改善することが精神的な健康につながります。

 コミュニケーションというのは、感情を伝え合うことです。そのためには、まず、自分の感情に気づかなければなりません。うれしい、楽しい、といったポジティブな感情は、言葉にしなくても周りに伝わりやすいので、大きな問題になることはあまりありません。問題になるのは、怒りや悲しみなどのネガティブな感情です。怒ったり、悲しくなった時に、その理由を「言葉」で伝えることが大切です。はじめに言葉ありきで説明した通り、言葉こそがとても重要です。
まず、イライラ、不安、怒り、悲しみなど、自分の気持ちに気づき、その理由をよく考えて、言葉で表現して周りの人に伝えます。そして、それが「重要な他者」に受け入れてもらえた時に、自分はこれでいいんだと安心し、こころの健康が得られます。

第2層は、毎日ではないけど、一生付き合う人のことです。親友や親せきはこのグループに入ります。

第3層は、その時だけの付き合いの人たちです。例えば会社の同僚、上司や部下などがこれにあたります。会社の上司とそりが合わない、と悩んでうつ状態になったと言う方がよくいますが、それは、本当は、「重要な他者」との関係がうまく行っていないことの代理になっている場合が多いのです。例えば、父親とうまく行っていない関係を、上司に投影していることがあります。
本当は、職場の人間関係なんて、どうでもいいのです。気にすることはありません。

「重要な他者」、毎日一生そばにいる人、親、配偶者と感情を言葉で伝えあっていることが大切です。

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